タイで過ごすのが1年の半分以下ならビザを取得しなくとも良い。ただ、長期滞在するならビザの取得も検討すべきだ。
タイでは就学、就労以外でも、結婚、投資ビザの取得やタイランドエリート、リタイアメントビザといったお金を滞在の信用に変える手段もある。
この記事ではタイへ移住したいと思っている人が知っておくべきこととして
▶ タイ移住の手段
▶ タイで長期滞在するためのビザ
から
▶ タイへ移住で失敗しないために知っておくべきこと
までタイ移住を検討している人に向けわかりやすく紹介していきたいと思う。
タイ移住の条件
日本人はビザを持たなくとも、パスポートだけで通常30日間の滞在がタイで認められている。30日以内に日本へ一度帰国するか周辺国へと出国すれば、滞在期間の延長もできる。ビザを取得せずともある意味で移住は可能となっている。
こうした入出国を繰り返すノービザでの滞在なら、短期のタイ旅行と同じで手続きも増えない。今でも多くの人がこうしたビザを取得せずにタイへと長期滞在している。日本で日雇いなどの短期バイトを行い、お金を貯めてからタイで長期滞在している人もいる。
ただ、近年は陸路で周辺国へと出国し、滞在期間を伸ばすビザランは2回までといった制限がなされている。また、ビザなしでは半年(180日)で90日の滞在しか認められていない。ビザを持たない人は1年でも半分の180日以上は日本やタイ以外の国で過ごさなければならないのだ。
永住権を持たない日本人の場合、生活の半分以上をタイで過ごしたいなら、ビザの取得は必須になる。半分まで滞在しなくとも、タイへの長期滞在を考えるならビザ取得は検討した方が良いだろう。
タイで長期滞在するためのビザ
タイはノービザで30日、さらに30日の滞在延長が観光ビザの取得で可能になる。観光ビザは日本人ならパスポートとパスポートのコピー、顔写真2枚、申請所にある申請用紙の提出だけで取得できる。
パタヤのイミグレーションなど、タイ国内で観光ビザを取得すれば60日の滞在が可能となる。観光ビザの料金はパタヤのイミグレーションでは1900バーツ(約6800円)程度、ラオスなどの周辺国では1000バーツ(約3580円)程度となっている(2020年1月現在)。
60日以上の滞在をしたいなら、
1.就労ビザ(ノンイミグラントB)
2.就学ビザ(ノンイミグラントED)
3.家族ビザ(ノンイミグラントO)、配偶者ビザ(ノンイミグラントO)
4.投資ビザ(インベストメントビザ)
5.タイランドエリート
6.リタイアメントビザ(ノンイミグラントOA)
などを取得しなければならない。
また、観光ビザに限らず、マルチエントリーが可能なビザでないと、一度タイ国外へ出国したときにビザは失効される。
下記それぞれ更に詳しく紹介していく。
就労ビザ(ノンイミグラントB)
就労ビザは現地企業へ就職したり、日本企業の駐在員としてタイに滞在する人が取得するビザである。タイではノンイミグラントBと呼ばれている。就労ビザは就職先などの企業にスポンサーとなってもらうことで簡単に取得できる。
就労ビザの取得はタイ移住の方法として、もっとも一般的な手段である。ちなみに、タイでお金を稼ぐならワークパミット(就労許可証)も必要になる。
タイで就職しての移住を考えている人は良い求人に触れるため、早いうちにエージェントへ登録しておいた方が良いだろう。
タイでの求人を探している人は上記サイトで「希望勤務地」を「東南アジア」にして転職支援サービスへ申し込めば良い。
転職エージェントへの登録だけ先に済ませ、仕事をしながら条件の良い求人、オファーを待ち、タイミングを見た上で就職できる環境を作っておこう。
就学ビザ(ノンイミグラントED)
就学ビザは日本語だと留学ビザ、教育ビザとも呼ばれる。タイではノンイミグラントEDと呼ばれるビザで、3ヶ月間と12ヶ月間滞在できるものがある。もちろん、就学ビザは大学だけでなく、語学学校でも発行してもらえる。
3ヶ月以内なら、3ヶ月間のノンイミグラントEDを1回、3ヶ月以上1年未満なら3ヶ月間のノンイミグラントEDを複数回取得する。1年以上なら1年間のノンイミグラントEDを複数回取得する。
語学学校は3ヶ月間のノンイミグラントED、大学の場合は12ヶ月間のノンイミグラントEDを取得する人が多い。
就学ビザの取得では語学学校の入学許可書(招聘状)や銀行残高証明書などが求められる。必要書類については語学学校、留学代行業者に聞けば詳しく教えてもらえる。
働く予定のない人でタイに長期滞在したい人はタイ語留学も検討に値するだろう。
家族ビザ(ノンイミグラントO)、配偶者ビザ(ノンイミグラントO)
就労ビザ(ノンイミグラントB)を持っている人の家族、たとえば、奥さんや子供も長期滞在用に家族ビザを取得できる。この場合、ワークパミット(就労許可証)所有者のワークパミットとパスポート原本およびその写し、戸籍謄本などが必要になる。
家族にワークパミットを持っている人がいるなら、家族ビザはスムーズに取得できる。
また、タイ人と婚約した日本人は配偶者ビザにより長期滞在できる。この要件は男性と女性で異なっている。
タイ人女性と結婚した日本人男性の場合、原則として毎月4万バーツ(約14.3万円)以上の収入証明が必要になる。この証明には就労ビザやスポンサーとなっている会社側の書類も求められる。
タイ人男性と結婚した日本人女性にはこの収入証明が不要になっている。つまり、日本人女性の方が配偶者ビザの要件は緩い。
投資家ビザ(インベストメントビザ)
投資ビザはタイで1000万バーツ(約3580万円)以上の投資をすれば取得できる。具体的にはタイで定期預金やタイ国債、不動産(コンドミニアム)などを評価額で1000万バーツ以上所有し、その証明書があれば1年以上のビザが取得できる。
お金に余裕があり、タイへの投資を考えている人にはもっともおすすめのビザである。
タイランドエリート
タイランドエリートはタイ政府が運営するメンバークラブである。こちらは入会金(50万バーツ~)と年会費(0バーツ~)を払うことで、5年以上タイへと滞在できるサービスである。
メンバーシップの費用やビザの期間など(https://thailandelite.info/fee.phpより)
最小限の特典で良いなら、50万バーツ(約179万円)で5年以上合法的に滞在できる。会員特典を頻繁に利用しないなら、滞在をお金で買う手段とも言えるだろう。
ただし、タイランドエリートに払うぐらいの金額があれば、知り合いの現地企業への出資などでスポンサーになってもらうことも場合によっては可能だ。
現地にこうした知り合いがいない人だと、手続きの点でタイランドエリートの方が楽である。まだ、タイランドエリートでも日本の住民税と国民健康保険料を免れる手段として使える。
5年間の住民税や国民健康保険料でタイランドエリートが購入できる所得のある人なら、手段としても悪くない。
リタイヤメントビザ(ノンイミグラントOA)
リタイアメントビザは50歳以上であり、
①毎月6万5000円以上の年金収入がある
②3ヶ月以上、80万バーツ(約286万円)以上の預金をタイ国内の銀行にしている。3ヶ月以降も最低40万バーツ(約143万円)以上の銀行預金を維持する
いずれかのを満たすだけで取得できる。こちらも3ヶ月もしくは12ヶ月のビザがある。
300万円弱の銀行残高のみでも原則取得できるため、50歳以上であれば比較的敷居の低いビザと言えるだろう。
タイへ移住で失敗しないために知っておくべきこと
タイ移住に失敗した人の多くは金銭的、労力的な問題が原因になっている。かかるコストに対して、日本以上のパフォーマンスを出せなかったなら、当然、日本へ帰国したくなるだろう。
バンコクなど、タイの都市部はかなり便利にはなった。しかし、海外である以上、コミュニケーションや生活、食事などで日本以上に負担が生じるうる。人によっては、日本に住んでいたときよりもストレスを感じたり、同じサービスを受けるにも金銭的なコストが増加するはずだ。
これは物価のやすさに惹かれて移住をした人に顕著である。
たしかに、タイで一番物価の高いバンコクでも、現地タイ人の多くは月5万円以下の出費で生活をしている。日本人でも現地の人レベルにまで生活を落とせば、このぐらいの出費でも生活はできるだろう。しかし、バンコクで日本と同じような生活だったり、サービスの質を求めれば日本以上にコストがかかってしまう。
物価の問題も含め、移住することによりコストパフォーマンスを高められるかどうかがもっとも大事な部分である。例えば、暖かい気候が好きな人、花粉症の人は年中常夏で花粉の無いタイはこの期間、日本よりも快適に過ごせる。また、職場を含み、タイ人のコミュニティなら、日本よりもゆるい雰囲気がある。
くわえて、タイでは日本以上にお金に比例し、夜遊びだけではない、広い意味での自由度も高くなる。人の魅力においても、お金で評価される割合は大きくなる。要はお金を持っている人ほど、自由になるし、人として評価される。こうした点でタイに暮らす人もいる。
金銭的な目安を個人的な視点で述べれば、月30万円以上の消費が可能なら、ほとんどの人で日本よりも生活の充実度が上がるはずだ。日本では味わえないようなリッチで満足した生活を送れる人は多くなるだろう。
もちろん、どういう部分で消費がかさむかは人によって異なるので一概には言えない。ただ、男性女性問わず、日本で平均ぐらいの消費が可能な人の多くはタイ移住によって後悔する人は少ないと思う。これはタイへの日本人移住者が他の国以上の割合で増えていることにより証明されている。
タイで仕事をしたい人へ
タイへ移住したいが、お金に余裕のない人は現地で就職するのが一番手っ取り早い。タイで就職する前に知っておくべき知識については下記記事で身につけられる。
スキルや語学などの専門性を生かせそうなら、早いうちからタイへの就職や転職も積極的に考えて良いだろう。タイ移住をしたい大学生や転職活動中の若者であれば、駐在員という形で働くことを第一に就職活動してみるべきだ。
タイでの求人を探している人は上記サイトで「希望勤務地」を「東南アジア」にして転職支援サービスへ申し込めば良い。駐在員は現地で現地企業に就職する現地採用よりも待遇が良くなる。
タイに住んでも「キャリアでのメリットが無い」「専門性を生かせ無い」人の場合、タイでの就職は根気よく求職活動ができる人にしかおすすめできない。
また、現在の会社を辞めた場合、キャリアが途切れることによる損失が生じるかもしれない。その辺のリスクも考慮した上でタイ移住を考えなければならないだろう。
ただ、フリーターなどキャリア、技能・能力の無い人は日本で職を捨ててもすぐにポジションを回復できる。タイに行けば貧困とは無縁の豪華な生活を実現できるかもしれない。必ずうまくいくという保証はできないものの、こうしたリスクのない人は一度挑戦してみても良いだろう。