タイにおける両替は現金(日本円)を持参し、レートの良い優良両替所で行うのがもっともおすすめである。なぜなら、手数料が安い(両替レートが良い)からだ。ただ、現金の持ち運びを不安に感じたり、現金を失くしたり、不足したときの手段としてクレジットカードによるキャッシングもできるようにしておくべきだ。
日本で発行したクレジットカードでも、VISAやMasterCard、JCBといったブランドならタイ現地ATMでキャッシング機能が利用できる。つまり、キャッシング枠のあるクレジットカードを持ってるだけでタイバーツの引き出しができる。
こうしたキャッシングにはATM手数料および金利(利息)といった手数料がかかってくる。また、引き出したタイバーツの請求は日本円でなされるため、為替レートも無視できない。
したがって、この記事ではタイでキャッシングを行う前に知っておくべき
▶ クレジットカードのキャッシングで請求される「ATM手数料」「金利(利息)」といった手数料
についてから
▶ クレジットカードのキャッシングにおける為替レート
に加えて
▶ バンコク市内の優良両替所とクレジットカードキャッシングによるレートの比較
まで述べていきたいと思う。
クレジットカードのキャッシングで請求される「ATM手数料」「金利(利息)」といった手数料
クレジットカードのキャッシング機能を使い現地通貨を降ろす場合にかかる手数料としては
1.ATM手数料
2.金利(利息)
がある。
ちなみに、ショッピングで請求される為替手数料(事務手数料)はキャッシングなら請求されない。キャッシングで請求される手数料はATM手数料と金利だけになっている。
1.ATM手数料
ATM手数料はキャッシング利用の度にかかる手数料になる。引き出す回数が増えれば増えるほど、引き出す現金が少額であるほど割合は高くなる。
ATM手数料は同じ通貨でもカード会社、利用するATM機によって異なるため、額は一概に言えない。手数料の高いクレジットカード、ATMでは1万円相当額の出金で、ATM手数料だけで500円(5%)以上になってしまうこともある。
ATM利用手数料はカード会社には必ず請求される。しかし、その負担分を消費者に求めるかどうかはカード会社によって異なっている。したがって、キャッシングを利用するならATM手数料を消費者に求めないクレジットカードを選ぶべきだ。
海外ATM手数料が発生しないカード
ちなみに、デビットカードによる海外ATMからの引き出しでは、消費者がATM手数料を負担するのが普通になっている。
また、楽天カードなどによる海外のキャッシングでは
1万円以下:110円(税込)
1万円超:220円(税込)
とATM手数料が定額になっており、ATMによる違いはない。定額なので、借りる額が大きければ大きいほど、手数料の割合は低くなる。また、楽天カードでは海外ATM手数料全額キャッシュバックキャンペーンもまれに行われている。つまり、実質0円にもできる。
楽天カードは比較的審査にも通りやすく、海外旅行保険や無料ラウンジ利用と行った特典も充実している。キャッシングを利用しなくとも、海外旅行者におすすめのクレジットカードである。

2.金利(利息)
キャッシングでは返済日まで利息が加算される。キャッシングの利息は100万円以下の借り入れ枠で、多くの場合年率18%になっている。ただし、カード会社によっては1日で返済しても最低1ヶ月分の金利が請求される規約となっている。
例)年率18%の金利で、10万円を30日間借りた場合の金利
1.10万円の18%=1年間で1.8万円
2.1日あたりの利息=1.8万÷365=約49円
3.30日あたりの利息=約49円×30=約1470円
となる。年率18%の金利で10万円を30日間借りた手数料を%で表すと1.47%になる。
また、キャッシングは繰り上げて返済しないと、自動的にリボ返済になるカード会社もある。借り入れ期間が長くなれば当然金利も膨らんでしまうだろう。金利を抑えたいなら、なるべく早く返済の手続きをすべきだ。
返済を早める「繰り上げ返済」には「電話での連絡が必要なカード会社」「ネットでの手続きで簡単に返済が可能なカード会社」の2種類がある。電話が必要なカード会社の場合、海外から国際電話すると金利以上の額を負担するケースも出てくる。通話料の安いIP電話で電話しようにも、カード会社の電話番号がこうしたIP電話に対応していないこともある。したがって、長期の海外滞在でのキャッシングを利用する予定の人はネットで繰り上げ返済手続きが可能なカードを選ぶべきだろう。
ネットで繰り上げ返済手続きができるカードとしてはセディナカードが有名である。セディナカードはATM手数料も無料なので海外キャッシング向きのクレジットカードだ。
セディナカードの場合、こちらのポイントサイトに登録してから申し込みをするとポイントも得られる。セディナカードへ申し込むなら、ポイントサイトを経由しなければ損だ。
ポイントサイトに登録、ログイン後「セディナ」と検索すればいくつかのセディナカードがでてくる。「ポイントを貯める」のリンクを経由して申し込むだけでキャッシュバックも受けれる。
セディナカードなら、好きなデザインのセディナカードを作れば良い。キャッシング手数料や返済上での違いはない。キャッシング専用のクレジットカードとして直前になって忘れないよう、海外旅行の予定を組む前に予め作成しておくべきだ。
クレジットカードのキャッシングにおける為替レート
クレジットカードのキャッシング機能を使い、現地通貨を降ろす場合にかかる手数料はATM手数料と金利(利息)のみである。ただ、為替レートを元にキャッシング金額の日本円換算がなされ、これにATM手数料と利息が加わり(手数料含む)返済金額が決まる。したがって、為替レートは無視できない。
為替レートはVISAやMasterCard、JCBといったカードブランドの基準レートが適用される。VISA、MasterCard、JCB、Union Pay(銀聯カード)は基準レートは公開されており、AMERICAN EXPRESS、Diners Clubは非公開になっている。
国際ブランド | 基準レート |
VISA | ExchangeRateComp | Visa |
MasterCard | Currency Conversion Calculator | Mastercard |
JCB | 海外でのお取り引きにおける基準レート | JCBブランドサイト |
Union Pay(銀聯カード) | 為替レート検索_银联国际 |
AMERICAN EXPRESS | 主要な外国為替相場情報からアメリカン・エキスプレスが選択した銀行間のレート(非公開) |
Diners Club | 所定金融機関の為替相場(非公開) |
バンコク市内の優良両替所とクレジットカードキャッシングによるレートの比較
バンコクの優良両替所。右上から時計回りに「THANIYA SPIRIT(タニヤスピリット)」「Super Rich(スーパーリッチ)」「SIAM EXCHANGE(サイアムエクスチェンジ)」「VASU EXCHANGE(ワス・エクスチェンジ)」。
2020年2月20日現在、市場レート、バンコク市内の優良両替所のレートは下記のようになっている。
・市場レート:1円=0.2808バーツ(1バーツ=3.5613円)(タイ証券取引所より)
・バンコク市内の優良両替所:1円=0.2805バーツ(1バーツ=3.5651円)
バンコク市内の優良両替所は手数料がかからない。したがって、1万バーツはレートのまま3万5651円で交換できる。
クレジットカードキャッシングについて、1万バーツをVISAのキャッシングで降ろし、18%の利息で10日間借り、220円のATM手数料がかかったとする。
①1万バーツ=3万5834円(2020年2月現在のVISA基準レート。ただし、市場レートとカードブランドのレートは厳密には異なる)
②176円(10日間の利息)
③220円(ATM手数料)
つまり、①3万5834円+②176円+③220円で1万バーツを降ろすのに3万6230円がかかる。
市場レートの1万バーツ=3万5613円を基準として、手数料を%とともにバンコク市内の優良両替所とクレジットカードキャッシングを比較すると下記のようになる。
1万バーツ(手数料) | 手数料の% | |
バンコク市内の優良両替所 | 3万5651円(38円) | 0.10% |
クレジットカードのキャッシング | 3万6230円(617円) | 1.73% |
2020年2月20日現在。為替レートが急激に変化した場合、レートの更新時間が異なるため、カードのキャッシングの方がレートが良くなることももちろんある。また、レートの悪い両替所しかない場所で両替が必要になったら、クレジットカードのキャッシングを利用すべきだ。
バンコク市内の優良両替所で両替するなら0.1%、タイミングが悪くとも0.5%程度の手数料になっている。基本的には現金(日本円)を持参して、現地の優良両替所で両替した方がオトクである。タイ旅行時には、抵抗がない範囲の額で現金を持参すべきなのだ。
クレジットカードのキャッシングだけでなく、ショッピングにおける手数料についても知りたい人は下記記事を参考に。

海外ではクレジットカードをATMへと差し込み、中に入ったまま出てこないケースがまれに起こる。一度ATMに飲み込まれると、ATMの管理会社に電話しても、原則として取り出してくれない。つまり、ATMに飲み込まれると、クレジットカードが利用できなくなってしまう。したがって、海外旅行でキャッシングできるカードは複数枚用意しておこう。また、クレジットカードを中心に使う予定の人も予備の現金は持参しておくべきだ。